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2017年8月 5日 (土)

ガンヘッド批評 その1

Vs ▲ この決戦場より一階上のフロアが敵の中枢部

ガンヘッドってどんな映画?
資料には以下のように紹介されている。

“時は2039年、場所は太平洋上の火山島・アイランド8JO。ここには巨大コンピューター「カイロン5」によって管理される世界初の無人ロボット工場「マザー・タワー」が建設されていた。この地上400階の超高層タワーを舞台に、緊迫した状況に追い込まれて行くブルックリン。やがて彼はニムという強くて美しいエアー・レインジャースの隊員や、この島で奇跡的に生き残っていたセブンやイレブンの二人の子供たち、そして地下のロボット墓場に眠っていたガンヘッドとめぐり遭う。迫りくる危機をくぐりぬけ、ブルックリンは3人の仲間と協力し、ガンヘッドを有人用に改造し、自らそのコックピットに搭乗して行く。ガンヘッドと一体化したブルックリンは、愛する仲間のために、そして何よりも自らの再生のために、肉体と能力の限りを尽くして、「カイロン5」に立ち向かって行く”

まず〈緊迫した状況に追い込まれていく〉が観客に伝わっていない。〈迫りくる危機をくぐりぬけ〉も。 意味が伝わるどころか、観客には何が起こったかすら伝わっていない。 だからストーリーの良し悪し以前に、映画になっていない。

さらに物語を通して訴えたいテーマ、〈ガンヘッドと一体化したブルックリン〉〈愛する仲間のため〉〈自らの再生のため〉も 伝わっていない。 本当に観客はワケが分かっていない。

映画にも、情緒的ロボットアニメにも なれなかった本作。それでも製作費を回収できたのは、東宝の夏休み怪獣映画だったからだ。トホホ。

企画の発起人はサンライズの山田Pだから、アイデア段階では「ロボットアニメを実写映画に!」だったのだろう。でも監督に映画評論家を起用したため現場では「洋画みたいなSF映画を!」になった(実際、リアルなメカデザイン)。

前者の目論見は人型ロボットじゃない時点で挫折、後者はかなり上手くいきかけた(特にブレンダ・バーキ)が、やはり人とロボットが一体化するとか、愛する仲間のためとか、ダメ男の再生とかいうのが、日本人的価値観だよね。トホホ。 結局、ゴジラの特技監督による夏休み子供向け怪獣映画として製作費15億円でもペイして終わった“SFXライブ・アクション”だが、リメイクするなら東宝やサンライズ抜きでやるべきじゃないか?(カイジューやアニメでは困る)

クラウド・ファンディングで資金を調達して、過激な暴力描写で人類虐殺を描かないと、敵の本気度が伝わってこない。人間の仲間でさえ裏切る。暗黒の未来を描かないとサイバーパンクじゃない。

主人公らトレジャーハンターは“自由人”で、ニム軍曹は“体制側”なのだが、そんなに対立してない感じだ。その場で殺し合いになってもよさそうだが。本作で描かれる21世紀の世界は、タイタンというAIが世界政府になって各州(かつての各国)を統治している。それに反発する“自由人”たちとの地域紛争・限定戦争で兵員が手一杯ということで、タイタンは無人兵器ガンヘッドをカイロン5討伐に差し向ける。善戦し、勝てそうな状況になったので、占領軍として700人の歩兵も投入した。それが冒頭に映る半サイボーグ兵士たちだ。しかしハッキングで偽情報を流され部隊は大混乱。ほとんどのガンヘッドは自滅させられたが、たまたま資源不足によってオフライン状態だった3機だけは影響を受けずに侵攻できた。だがその3機も、カイロン5の下のフロアを巡回するエアロ・ボットの餌食になり、歩兵も全滅。それが冒頭のシークエンスだ。

Photo

この島を支配しているAI、カイロン5を破壊しなければ、この島から脱出できない。だからガンヘッドを修理して戦うのだが、観客にはそれが伝わっていない。「化け物ロボットやっつけるにはガンヘッドが必要なんだよ」というセリフでは、なぜ化け物ロボットとわざわざ対戦しに行くのか分からない。

観客が分かるのは22時間後にカイロン5が何か悪い事をしようとしていて、それを止める必要はあるということ。その下の階を守るロボットと対戦する理由は分からない。重要な上の階には人間しか入れないのだ。

Photo_2エアロボットをスルーして、最初からここへ行けば?

巨大ロボットと戦う必然性というのは、人のいる街で暴れてるのを止めるとか、コックピットに悪者が乗ってるとかだと思うが、エアロ・ボットは無人で、人間用の狭い通路には入れないし、屋外にも出られない。脅威ではない。だから倒す必要がない。なぜリスクを負ってまで対決する? ニム軍曹が人間用の螺旋階段でカイロン5に近づくまでの陽動・オトリだったか? ガンヘッドは巨大な捨てゴマ?

とにかく巨大ロボットと人間が一体になる脚本には無理があるのだ。そういうのは子供番組・アニメだけで可能。人間ドラマに巨人は入ってこれない。

 

Photo_3 ▲ 巨大ロボと人間がカラむのは…

 

ガンヘッドのリメイクやリブート、続編を製作するには、巨大ロボットがヒーローになれて、尚且つ大人が観れるリアルなSFというウルトラC(死語)な脚本を用意しなきゃいけない。誰がそれをやれる? 盛時のジェームズ・キャメロンしかいない!

Photo_4赤い目が弱点であることを 観客は知らない

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