さよならガリウス
“自閉ネコを飼えばいいじゃないですか”
某知人
筆者が自閉ネコを拾ってあげないのには理由がある。それをお話ししよう。
ある秋の午後、筆者が夕刊を取りに門扉のところへ行くと、そこに一匹の迷い猫がいた。 まだ小さい猫である。
最初はいつものノラ猫かと思ったが、様子が違う。自分から筆者に近づいて来て、頭や体を擦り寄せてくる(!)
生後4ヶ月くらいの子猫で、性別はオス。人間でいえば小学生くらいの男の子か。とにかく筆者にくっついてきてくれたことが嬉しかった。
大量の目ヤニが溜まり、健康を害しているのは明らかだった。翌日獣医に診せたところ、40度も熱があった。筆者はこの子をかくまったのである。
幸い、おとなしくてほとんど鳴かない子だったので、同じ家に住む猫嫌いの家族に見つかることはなかった。
ガリガリにやせた薄茶色の子猫なので “ガリウス”と名づけ、筆者はこの“迷子の子猫”を養うことにした。
しかし、猫嫌いの家族には言えない(-_-;)
獣医に診せたときに5千円ほど支払い、さらに猫用のトイレなど最低限必要な物を買い込んで筆者の所持金はほぼゼロになった。これからは獣医に診せることもできない。
ガリウスはとても従順で人懐っこく、あまりの性格の良さに獣医が「こんな子は珍しい。変わってる!」とまで言った。
眼病を治すために一日に何度も目薬を差してやったがそのときもガリウスは暴れずにジッとして、健気に耐えていた。なんて賢い子猫だろう!
そんなこんなで、拾ってから3日目には目ヤニが無くなり、ほぼ完治した。この間、蚤もヒドかったので筆者はセッセと蚤取りスプレーをかけ続け、これもほぼ駆除できた。 熱の方もすっかり下がった。
4日目。ガリウスを蚤取りシャンプーで洗うことにしたがおとなしいガリウスであっても風呂場では鳴くかもしれない…。筆者は観念して、家族にガリウスのことを打ち明けた。 否、打ち明けてしまったのである。
激怒した家族はすぐに動物管理センター(ペット処分場)へ電話したが、その日は祭日で公務員は休みだった。筆者は「助かった!」と叫んだ。
猫嫌いの家族に筆者は「里親を探すから、少しの間
処分するのを待ってくれ!」と懇願したが、聞き入れ
られなかった。
結局のところ、ガリウスは風呂場でシャワーを浴びせられても健気に耐えて 鳴くことはなかった。
今にして思えば、ガリウスを隠して飼うことも可能だったはずである!
この日、シャンプーしてキレイになったガリウスを、筆者はようやく自分のベッドで寝かせてあげた。それまでは蚤やダニが怖くて、ベッドに寝かせてあげるのを控えていたのである。
ふかふかの布団の上で、ガリウスは本当に満足気な
表情で筆者を目つめた。 筆者も一緒になって寝転ぶ
と、ガリウスは筆者の頬や口をペロペロ と なめてくれ
た。この子はいつも筆者の頬や口をペロペロなめるん
である(^-^)
次の日、家族は動物管理センターに連絡した。
窓を開けて、秋のそよ風に吹かれながら筆者はガリウスに寄り添って昼寝をしていたが、そのとき動物管理
センターの人がやって来てドアベルを鳴らした。筆者は飛び上がった!
筆者は昼寝から覚めて無邪気に遊んでいるガリウスを袋に入れることができずに 抱いたまま玄関へ向かい、動物管理センターの職員に事情を説明しようとした。
ところがこの職員が、怒ったような冷たい態度で「袋にいれてください!」とまるで叱責するように言ったので、筆者はガリウスにお別れを言う間も無かった。
何も知らないガリウスが、おとなしく自分から袋に入っていったのを筆者は忘れられない。
新しい飼い主が決まらなかったら殺処分になるが、その方法は安楽死などではなく、二酸化炭素によって強制的に窒息死させられるのである!
7日後、ようやく交通費を工面した筆者は、遠方にある動物管理センターまでガリウスを迎えに行こうと決意したが、同センターのホームページに「保護期間は3日間」と書かれているのを見て失望した。
筆者に甲斐性が無かったばかりに、ガリウスを死なせる結果になってしまった。
自閉ネコを同じ目に遭わせるわけにはいかない。
だから筆者は絶対に自閉ネコを拾わない!
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