モーツァルトとクジラ

2007年7月22日 (日)

モーツァルトの居場所

“何軒物件を見ても「」じゃないなぁ。さみしい!”
                  久本雅美(オールドミス)

自閉映画『 モーツァルトとクジラ 』を観ると、筆者はことさら自分の居場所を要求する意向を強くしてしまう。

女主人公イザベルのHome(Houseではない)に対するこだわりは相当なものだ。

イザベル:「私たちには家が必要なの。庭にお花を植えて、二人で小陰に座り、星を見ながらキスするの!」

ドナルド: 「あぁ」

イザベル:「心が安らげる場所が欲しくて、小さな家を見つけたわ。家賃もそんなに高くないし」

ドナルド: 「僕は失業中だよ!」 ←情緒が無い。

このやりとりは自閉症同士でも話が噛み合わないことを示す適例と思うが、それはさておきドナルドとイザベルの無邪気な30代(!)カップルは小さな可愛らしいテラスハウス(と筆者が呼んでいる則に建つ一軒家)を見つけて同棲し始める。

コレが現在筆者の暮らしている家にそっくりなのだ!

擁壁(ようへき)の上から階段を下りて、広めのバックヤードに出る構造が、筆者の住環境とまったく同じだ。

この裏庭が自閉ネコの居場所になっており、擁壁の鉄階段が母ノラ猫の教育現場だ。タカくんは裏庭に面したポーチに吊ってある。

イザベルの家も、筆者の家も、この手の則(のり)住宅の特徴として挙げられるのは、正面から見たときの外観がとても小さく、可愛らしく見えること。それゆえ『 モーツァルトとクジラ 』の二人の家は、大変チャーミングに映って作品の雰囲気に華を添えたと筆者は思っている。

しかし奥に広がるバックヤードは、二人のケンカの場所となってしまう。

イザベル:「まるで変人扱い!何が “感じよくしろ”よ!」

ドナルド:「君こそ、マトモな人間のする言動が一度でも
       あったか!」

イザベル:「他の男と同じね。本当の私にビビッてる」

その後もイザベルはドナルドと衝突を繰り返してしまう。同じアスペルガーの仲間だと思っていたドナルドさえも自分のことを理解してくれないと感じたイザベルは、絶望のあまり自殺未遂を起こす。

イザベルが落胆した気持ちは、筆者には痛いほどよく分かる。自閉症同士でも仲間になれないものなのだ。

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2007年7月 2日 (月)

自閉タレント

今夜のテレビ東京系番組『豪腕!コーチング!!』は、ボビー・オロゴンを含む5人の外国人に日本の伝統文化を叩き込むという趣向だった。

外国人たちの中に一人だけ女性がいたが、驚いた。
あの顔は『奇跡体験!アンビリーバボー』でメアリーを演じた人物ではないか!

いや、似たような外国人はいっぱいいるから、筆者の勘違いかも知れない。と思っていたらマグロを食べるシーンで、「アンビリーバボー、うまい!」と叫んだから間違いない! アンビリ女優だ。

調べてみると、この人物はオクサーナ・イワサキというロシア人の外タレである。ルビー・モレノを輩出した外タレ芸能プロダクション・稲川素子事務所に籍を置く。今夜の番組の中でもオクサーナと呼ばれていたから間違いない。このロシア人がメアリーを演じたのだ。

そしてジェリーを演じたのは浅沼コリンというハーフのモデル。筆者と同じ年齢だが、ジョシュ・ハートネットに負けない男前である!自閉症の演技も上手かったから文句の付けようが無い。知能も高いらしく、NHKの『高校講座・情報A』のパーソナリティを務めるほどパソコンに詳しい。テクのある奴だ。

みんなは浅沼クンみたいな奴が大好きで、筆者みたいな奴は大嫌いなんだろうなぁ。気分が悪い!

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2007年6月29日 (金)

レインマンの脚本家

ロナルド・バスが興味深い発言をしていた。
以下はその引用である。

“アスペルガーに関しては意見が分かれている。高機能自閉症と同じとする意見と、全く別ものとする意見だ”

“私の意見を言えばアスペルガーは映画向けの自閉症。彼らは一般人とレインマンの間にいる”

“自閉症の特徴を有し、何かに対して強い興味を示したり、自分の感情を表現できないこともある”

“さらにアスペルガーの人は考えをそのまま言葉にしてしまう。でも正直な彼らの言葉は心に響くよ”

“アスペルガーの人の多くは人との接触を望んでいる。人を恐れる一般的な自閉症とはそこが違うんだ”

“彼らは人と関わりたいのだが、それが難しいから悩む。でも普通の人だって彼らと同じような悩みを抱えているだろう。だから共感できるんだ”

“(モーツァルトとクジラは)男女の愛とは何かをこれまでにない方法で表現している”

“この映画は人々の記憶の中に残るだろう”

自閉症の謎こころの謎―認知心理学からみたレインマンの世界

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2007年6月11日 (月)

実録!モーツァルトとクジラ

“これはアンビリーバボーの長い歴史の中でも、初めてのケースの恋愛ですね!”  関根勤

6月7日に放映された『奇跡体験!アンビリーバボー』で、ジェリーとメアリー(映画『 モーツァルトとクジラ 』のモデルになった夫婦)の恋愛話が取り上げられた!

このことを筆者は知らなかったが、偶然ハードディスクに録画されていて、観ることができた。筆者のレコーダーに自動録画機能は無いので、まさに“奇跡体験”である!

「アスペルガー症候群の二人の愛の記録」と題され、
ジェリーとメアリーの人生を再現ドラマで観せてくれる。原作を読んでいなかった筆者にとっては、ビックリするような事実が次々と判明!

イザベルのモデルとなったメアリーは若い頃、何ヶ月も男に監禁(!)され、それが元でPTSD患者になっていた!

ジェリーとメアリーは結婚後わずか三年で離婚していた!

番組ではスウェーデンの研究を紹介、それによれば250~300人に1人の割合でアスペルガー症候群の人がいるという。

ジェリーの主治医(?)ダロルド・トレフォート医師は、「通常では考えられない奇跡的なことです」と絶賛していた。ジェリーはメアリーと復縁して、今ではウマくやっているのだ。良かった!

メアリーの少女時代を撮影したホームビデオなどもあり、貴重な映像資料といえる。

この番組では畢竟、アスペルガー同士の夫婦でも馴れ合いが大切で、ありのままの自分ではいられないというオチだった。筆者としては困る。

あ~ぁ。自閉ネコもタカくんとウマくやっているみたいだし、オデんとこにも美人アスペルガーが来ねぇかなぁ。

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2007年6月 1日 (金)

続・モーツァルトとクジラ

“個性が魅力よ。あなたは他の誰とも違うわ” イザベル

この映画を観て一番印象に残ったのは、劇中の自閉人たちが「私たちは自閉症」と何度も口にすることだ。

アチラでは自閉症を全面に出す。

ひきかえ日本の集団主義的アスペルガーたちは、「私たちも健常者と変わらないんだよ。大丈夫だよ」みたいなことばっかり言って、その場を丸く収めてしまう。これでは、いつまでたっても社会の理解が進まない。

劇中、アスペルガーの集会に初めて参加したイザベルが、その集会を「仲良しグループ」と揶揄し、

みんなで傷を舐め合えば、それで解決するの?

と疑問を呈したが、偶然にもコレとまったく同じ言葉を、筆者も地元のアスペルガー集団に投げかけて、陰湿なイジメの末に追い出された辛い過去がある。共感どころではない。イザベルは筆者そのものだ。

地元の発達障害者支援センターに「自分にも居場所が欲しい」と相談したところ、同じ障害を持つ人のための「作業所」を紹介された。この施設は有料で月額使用料6千円。何のことはない、障害者のレジャーランドである。

それよりもっとガッカリしたのは、同施設を利用している我らが自閉症の徒にである。みんな定型発達のマネをして、礼儀正しくその場を取り繕ったり、無意味な笑顔を作ったりする。それでも健常者と同じに出来ていればまだマシだが、下手クソなのである。実にイタい。
本当の“居場所”では無いと感じた。

モーツァルトとクジラ 』に登場したような“自然体でいられる集会”が日本にもあったら、筆者のような人間がどれだけ救われると思う?

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モーツァルトとクジラ

“あなたは普通の人と同じになろうとしてる。だから別れるわ” イザベル

ジレンマに苦しむ孤高のSFヒロインを演じて筆者を虜にした『 ピッチブラック 』の主演女優、ラダ・ミッチェルがまたまたやってくれた!

自閉映画『 モーツァルトとクジラ 』である。

ナントカをつなごうの比ではない、これこそ
画期的な自閉症啓蒙&娯楽映画である!

この映画、ホントに、ホントに、筆者が自分のことのように共感できる“奴ら”の物語だ。

ジョシュ・ハートネット演じるドナルドの部屋はモノが散らかり、シャワー・カーテンはカビや水垢だらけ。
筆者の一人暮らし時代にソックリである。

ラダ・ミッチェル演じるイザベルが、誰もいないビルのワンフロアを自分の居場所にしているのも、筆者が若い頃やっていたことである。まるで同じだ。懐かしい!

イザベルのことを狙っていたのに、ドナルドに取られた自閉オヤジが、それでも負けじと「オデと付き合え!」みたいな態度をとっちゃうのも筆者っぽいなぁ(^_^;)

ピッチブラック』のキャロリンにも共感したものだが、
今回のイザベルは本当に「自分と同じだ!」と感じた。

絵や音楽が好きで独自理論を展開する。
レイプされた被害を懸命に訴える。
お仕着せの自己実現を嫌がる。
自閉症の集団でも馴染めない。
独特の高笑いをする。
気宇壮大な部屋の模様替えを計画する(これに対してマジメに予算を気にして怒るドナルド。AS丸出し!)。

小さな家を見つけてドナルドと同棲するが、就職を果たしたドナルドから「今夜は家に上司が来るから、お前もエエカッコせぇよ」と馴れ合いを強要され、イザベルはこれ反発!わざと上司の前で皮肉を連発するのである。これでは筆者の女バージョンだ。

ひょっとして、ラダ・ミッチェルは隠れアスペルガーなのでは?と思ったほどである。とにかく演技力は抜群。

この障害の関係者には必見の映画だが、関係者以外の無知蒙昧な人にもお勧めできる、さわやかな大人の青春映画に仕上がっている。面白いぞ!

ミニシアターの音響は意外とマトモで、大劇場ならスクリーン裏にあるスピーカーが、表にポンッと置かれ、筆者の部屋のオーディオに似た音がした。音量も大き過ぎず適当。映写画質は家庭用の液晶プロジェクターに勝る、お金払って観に行く価値のあるものだった。映像美を堪能できちゃったのである!ミニシアターの方が調整し易いということ? とにかく幸いであった。

今回の観覧は久方ぶりの大成功である。テレビっ子の筆者としては吹き替えでも観てみたいので、今月末に発売されるDVDも買おうと思う。

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ちなみに『 ピッチブラック 』はヴィン・ディーゼルの吹き替えの声がイマイチだった。遺憾である。

ピッチブラック

リディック / ピッチブラック ツインパック

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